第一章

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店の中には6組くらいのお客さんが入っていた。 「いつものでお願いしまーす!」 続いて萌もいつものでとお願いした。 座ろうとしてマフラーに手をかけたとき声をかけられた気がした… 「図書館の方ですよね?今日絵本借りに行った高橋です」 蒼太さんだぁ… 「こ、こんばんは」 びっくりしたのと顔が熱くなるのとでどもってしまった恥ずかしい~ 「ここよくくるの?」 「あっ、はいよくきますよ。同僚の佐倉萌です」 私は萌を紹介した。 「こんばんは。週に一回は来てますよ!」 「そっかぁ。あっ俺高橋蒼太です。んでこっちも同僚の新谷浩輔」 「こんばんは。どうです?せっかくだし一緒に食べませんか?」 えっ?いやいや私はちょっと無理です~ と、心の中でワタワタしてると萌が、 「いいんですか?じゃあ一緒しようよ!桐子!」 グイッと腕をひっぱられて同じテーブルに座った。 蒼太さんの隣なんですけど~ 顔が熱い~。多分赤くなってと思う。 「2人とも彼氏いるの?」 浩輔が聞いてきた。私はもうテンパってて話しにならない。 「私はいますけど桐子は今フリーですよ!」 ニコッと笑って答える萌。 「へー。桐子さんって言うんだね。名字は?」 蒼太さんがちょっとこっちを向いて聞いてきた。 「神崎です」 「神崎桐子さんね。実は前からよく見かけるから話したいと思ってて」 「えっ?!」 今話したいと思ってたって言った? 「蒼太いきなりだなぁ~」 ははっと笑う浩輔さん。なんか萌も嬉しそうだ。 「いや。いきなりってわけじゃないけどさ…朝挨拶したり図書館の仕事してるとこ見たりしていいなと思ってて。今日偶然だけど会えたから今言っとかないとと…」 言い終えてから周りの視線が自分に集中してるのが分かって猛烈に赤くなる蒼太さん。 手で顔を扇いだりして照れを隠してるようだ。 「蒼太~。いきなり告白か?しかも店で!」 私は嬉しさと恥ずかしさで俯きかげんでチラッと蒼太さんを見た。 蒼太さんもちょうど私をチラッと見たところで目が合った私たちはパッと別の方向を見る。 そのときちょうどラーメンができたみたいで良枝さんが私と萌のラーメンをテーブルに置いた。 「蒼ちゃーん。お店で告白なんて大胆だね~!」 バンって蒼太さんの肩を叩き笑いながら仕事に戻った。
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