第一章

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私がトイレに行っている間に蒼太さんが本を借りたらしく佐藤先輩と話していた。 ちょっとすぐ戻るの嫌で絵本のコーナーにきて少し整頓してから戻った。 「ね。彼27歳だってよ!」 「そ、そうなんですか」 貸し出しのときにそんな話しができるなんてさすが先輩… 羨ましい… 嫉ましく思ってしまう。 私嫌な子だな…。 閉館時間になったので片付けをし着替えるために更衣室にきて萌と話しながら着替えていた。 「んで?朝なんかいいことあったの?」 なんか萌さん?凄い楽しそうですよ。 「ん~。ちょっと気になる人がいるんだけどね…」 「そうなんだ?どんな人?」 またまた今度は目も輝いてますよ。 「あの近くの保育園で保育士さんしてる人…」 そこへ佐藤先輩が着替えにきた。 「高橋蒼太さんでしょ?背も高くてがっしりしてるけど雰囲気がいいよねぇ。優しい感じするし」 「あっ。はい」 あのちょっとの間にそんなに気に入ったのかな… なんかちょっと凹んできそう。 私はもう着替えたので萌に外で待ってると話し先輩にも挨拶をして更衣室を後にした。 いつからこんなにも人を嫉ましく思うようになったのか… あのままいたら先輩を凄い顔で睨んでしまっていたかも。 更衣室を出てきて良かった… 外に出てから少し木枯らしがふく空を見つめ溜め息ついた… 「桐子?」 「萌。ごめんね」 「ううん。分かってるからいいよ。今日は何か食べて帰ろうか?萌さんが奢るよ!」 「ふふっ。ありがとう!じゃあラーメン食べたい」 「了解!いつもの店でいい?」 「うん」 私たちは落ち葉を踏みながら歩きだした。 私は二年前付き合っていた彼がいたが病気の話しをしたら逃げるように去っていった… そのことを知ってる萌は私にあえて深くは聞いてこない。 そばにいてくれるだけで嬉しい。私を理解してくれる人がそばにいるだけで幸せだと思う。
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