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気がつくと夜だった。
気がつくと僕は公園にいた。
何かおかしい。
とにかく落ち着こう。
身体中に変な汗をかいている。服がべったりまとわって気持ち悪い。汗をかいた所為か尋常じゃなく喉が乾いている。とりあえず缶ジュースでも買うとしよう。
僕は自販機まで足を進めた。
自販機の明かりに1歩近付くたびに何か大切なものを見落としている、そんな気持ちが強くなる。
上を見る。空は綺麗な星空。月はない。今日は新月らしい。
左右を見る。此処は公園。シーソーや滑り台、砂場には昼間に子供が忘れたのかスコップがひとつある。
砂場のそばにはベンチが街灯に照らされている。
そうだ、とにかく落ち着いて考えをまとめよう。ベンチに座ろうか。
光の下にて出てベンチに座り、少し落ち着いたところで気付いたことがひとつ。
服が、染まっている。真っ赤に。
この色は、血……?
さっきからべたついていたのは汗の所為だけじゃなかったのか?
それより誰の血だ?自分の?いやいや、どこも怪我なんてしていないじゃないか。じゃあ、人の血?
いったい僕の身には何が起こっているんだ?
喉がかわいた。そうだ、喉がすごくかわいている。
飲み物を買おう。
自販機、いや、財布を持っていない。
この際水道水でもいい。
幸いベンチの隣に水飲み場がある。
蛇口を思いきり捻る。
ばちゃばちゃと水がはねて服にかかったが、血のようなものでもともと濡れているから大した不快感はなかった。
僕は必死で水を飲んだ。
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