1人が本棚に入れています
本棚に追加
#
扉を開けた途端、数人からの視線を浴びる巫人。
見渡した限り、担任となるであろう先生の姿はまだ教室にはなかった。
その事にほっとしつつ、巫人は自分の席であろう…
先程見たクラス表の自分の名前の隣に書かれた番号を思い出していた。
その番号と机に書かれた番号を見比べ、見付けた席はなんと…
教室の扉側、しかも一番後ろと言う…なんとも嬉しいのだか悲しいのだか、巫人からすると微妙な位置であった。
席にゆっくりと腰を下ろし鞄を横に掛け、顔を上げては教室を見渡してみる。
「あ…」
そこに、一人異様にオーラと言うのだろうか。
普通の生徒が纏うであろう活気の良さや無邪気さは微塵も感じられない人物に目が釘付けになっていた。
まるで氷の様に、冷たい冷気さえ纏っている様に見える青年。
巫人の席からは壁と壁の如く、彼の席は窓側…
だが、離れていてさえもそのオーラは強く。
彼からは一匹狼という言葉が、直ぐに似合いそうな容姿であった。
その容姿はというと、離れていても分かる程冷たい眼差しを持つ…綺麗な藍色の瞳。
顔立ちは女性のように綺麗で、肌も白に近い。
そして、何より目が釘付けになったのは彼の髪型…
綺麗には綺麗だったが、色は白銀。
綺麗な銀に毛先は少し灰色、黒とグラデーションになっていた。
普通は毛先が黒な筈だが…彼は普通ではないらしい。
元の地毛自体が銀髪なのなら納得がいくグラデーション。
そして、髪型的には右側のもみあげだけが異様に長くそこだけは可愛らしく肩まで三編みに縛られていた。
だが、そんな可愛さも関係ないくらいに…
彼の髪は、窓から零れる風に揺られ凄く綺麗であった。
その証拠に、巫人は担任である先生が教室に入って来た事すら気付かずに…
彼に見惚れているくらいだ。
最初のコメントを投稿しよう!