プロローグ

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 ファルネースという世界がある。  清らかな光と水と豊穣な大地、そして万物がマナによって構築された、地球から遥か遠く離れた別の世界だ。  この世界には五つの大陸と、十一の国がある。アトランテ大陸を世界地図の中心に捉え、東に在る最も広大な大陸、ミディリアの南部に広がる広大な樹海、イセリーナの森にはノヴァラ氏族が暮らしている。  かつてこの地を厄災が襲った。闇よりも昏き鱗と暗黒の帳を思わせる大翼を持つ大いなる災い――“邪竜”エビルの襲来である。  何処から現れたのか知る者はいない。しかし、それは確かにイセリーナを襲い、森を、そこに住む生物を、そして人間を喰らった。  この大敵にノヴァラ氏族は氏族中でも勇者達を募り、討伐に繰り出したが、生きて帰れた者はいなかった。  人々に、重く絶望がのしかかった。  森を捨てて別の地に落ち延びようと言い出す者、氏族一丸となって、再びエビルと戦おうと言い出す者――だが、どうあがこうと誰もが助からぬと思っていた。  そんな最中、一人の戦士が現れた。
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