first story

11/15
前へ
/95ページ
次へ
まだ消えていない方の手をマスターの頬に伸ばす。 「…泣カ、なクテ……イイ…デ…スヨ…。マタ……新シ…イ…“KAITO”を…インストール…しタラ…イイん…デス…から……」 「っ馬鹿野郎っっ!!」 「え………?」 初めて…マスターに怒鳴られた…。 「っKAITOだったらなんでもいいんじゃないんだよ…っ俺と…っ俺と6年間過ごしたKAITOは…っお前しかいないんだ……っ」 「ま…すた……」 「いやだ…っ消えないでくれよKAITO……」 その時、何かが自分の頬を滑り落ちた。 「ま…スタ……ど…しタら……。マた…エラー…が…」 「っ…それはエラーじゃねぇよ…っ泣いてんだ……っ」 その言葉に、KAITOは大粒の涙をぼろぼろとこぼした。 「っ…マス…たぁっ…消え…たく、ナ…イっ……消エ…タ……ク…ナ………っっ」 「KAITO…っ」 バラ…… また壊れるKAITOのカラダ… ただ、一方的に壊れてゆくだけ…… 「っKAITO…ごめんな…っこんなになるまで気付いてやれなくて………っ」 その言葉にKAITOはゆっくりと首を振った。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

587人が本棚に入れています
本棚に追加