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まだ消えていない方の手をマスターの頬に伸ばす。
「…泣カ、なクテ……イイ…デ…スヨ…。マタ……新シ…イ…“KAITO”を…インストール…しタラ…イイん…デス…から……」
「っ馬鹿野郎っっ!!」
「え………?」
初めて…マスターに怒鳴られた…。
「っKAITOだったらなんでもいいんじゃないんだよ…っ俺と…っ俺と6年間過ごしたKAITOは…っお前しかいないんだ……っ」
「ま…すた……」
「いやだ…っ消えないでくれよKAITO……」
その時、何かが自分の頬を滑り落ちた。
「ま…スタ……ど…しタら……。マた…エラー…が…」
「っ…それはエラーじゃねぇよ…っ泣いてんだ……っ」
その言葉に、KAITOは大粒の涙をぼろぼろとこぼした。
「っ…マス…たぁっ…消え…たく、ナ…イっ……消エ…タ……ク…ナ………っっ」
「KAITO…っ」
バラ……
また壊れるKAITOのカラダ…
ただ、一方的に壊れてゆくだけ……
「っKAITO…ごめんな…っこんなになるまで気付いてやれなくて………っ」
その言葉にKAITOはゆっくりと首を振った。
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