first story

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「うーん…。最近調子悪くなったな…」 「う…すみません…」 しょぼんと肩を落とす。 すると頭をなでてくれる大好きなマスターの手。 「いや、俺が調教下手になったんだな。気にすんなww」 「えっ違いますマスター!俺が…」 「俺だって」 「俺のせいですっ!!」 「俺ー!」 「俺ですーっ」 最近よく起こるこのやり取り。 マスターに出会って、相性も良かった為にぶつかることもなく過ごしてきた毎日…。 本当に血のつながった家族のように過ごしてきた。 6年目の小さな異変。 「ホント…俺、どうしたんだろう……」 人体で言う喉と呼ばれる部位をおさえる。 VOCALOIDは声が命。 それに支障が出るなんて…もし故障などしてしまえばアンインストールされるだろう。 マスターはきっと、新しい『KAITO』を買う。 「変だな……胸がズキズキする…。ここも、壊れてきたのかな…」 *
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