587人が本棚に入れています
本棚に追加
「うーん…。最近調子悪くなったな…」
「う…すみません…」
しょぼんと肩を落とす。
すると頭をなでてくれる大好きなマスターの手。
「いや、俺が調教下手になったんだな。気にすんなww」
「えっ違いますマスター!俺が…」
「俺だって」
「俺のせいですっ!!」
「俺ー!」
「俺ですーっ」
最近よく起こるこのやり取り。
マスターに出会って、相性も良かった為にぶつかることもなく過ごしてきた毎日…。
本当に血のつながった家族のように過ごしてきた。
6年目の小さな異変。
「ホント…俺、どうしたんだろう……」
人体で言う喉と呼ばれる部位をおさえる。
VOCALOIDは声が命。
それに支障が出るなんて…もし故障などしてしまえばアンインストールされるだろう。
マスターはきっと、新しい『KAITO』を買う。
「変だな……胸がズキズキする…。ここも、壊れてきたのかな…」
*
最初のコメントを投稿しよう!