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「やっべ~!完全に遅刻だ!」
家に帰ってちょっと一休みのつもりが時刻は17時、慌てて携帯電話を確認すると、画面は真っ暗。
「嘘だろ・・・高かったんだぞ・・・」
電池切れという僅かな希望にすがり、恐る恐る携帯を充電器へと差し込む。
「良かった~~~。」
画面を確認すると、パーティー開催中のクラスメイトからの安否確認電話の着信履歴が大量にあり、それが電池切れを引き起こしたようだった。
「まっ、とにかく!ササッと準備して出発しますか!」
今日は朝まで騒ぐだろうから、多少の遅刻は気にする必要はないと、思考を転換し歯磨き、髪型作り、着替え等を済まし鍵をしっかりとかけて家を飛び出る。
小さい頃に父親を失ったアキラは、昼間は働きに出ている母親と二人暮らしだ。
昔、父親と3人で有名な避暑地を観光中に災害に巻き込まれて命を落とした。
その時の傷は母親は心に、アキラは主に左腕に大きく残っている。
あまりに小さい時の出来事で、アキラは少しも覚えていないし、事故の話も母親が悲しい表情をするので一度聞いただけだ。
それでさえも小さい頃の話である。
簡単に言うとアキラは気にしていないのだ。
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