雷と朝

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『あの車の中にいるのが、待ち合わせの相手か?いや、そんな雰囲気じゃねえ!』 必死に良太は逃げるが、既に黒ワゴンは良太の進行方向を塞ぎ、良太の動きが一瞬止まると同時に、黒ワゴンから人が飛び出す。 中から出てきたのはこれまた黒一色の恰好をした2人。 電飾に乏しい山道では、2人は殆ど闇に溶け込んでいる。 そして飛び出すと同時に、良太が挟み撃ちにされた。 『まずい!』 必死に抵抗する良太を見て、親友の危険が確信に変わる。 アキラは良太まであと5m足らず。 「あああああ゛あ゛あ゛!」 少しでも良太から気を逸らせようと最大限に大きな声で叫ぶ ! 良太の背後にいた1人が、振り向きアキラに気づくが、既に遅い。 そいつに向かい自転車ごと全速力で、突っ込む。 自転車の上で、バランスを崩したアキラ、全速力の自転車に突っ込まれた黒い人間。 2人が盛大に吹っ飛び、良太の方に飛んできたアキラに、巻き込まれる形で良太も倒れ込む。 「あ、彰?お前なんで?」 冷静に突っ込んでくる良太に対して、息も切れ切れなアキラはなんとか答える。 「はぁ・・・いや、まぁそれは追々・・・って、助けたつもりだったんだけど、はぁ・・・逆効果?」 恐らく1番ダメージの大きかった自転車に突っ込まれた方の黒い人間はアキラと良太からやや離れた場所でまだ寝転んでいるが、もう1人は同じ様に倒れているアキラと良太を見下ろす様に、立っていた。
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