Destiny

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「さぁ、帰る準備は終わった? 忘れ物はない?」 母さんは、いつも しつこく何度も言う。 もう、子供じゃないってのによ… 「なぁ、母さん」 「なぁに?」 「ここに来る前に 山通ったよね? あそこ通らずに、帰れない?」 「ん~ あそこ以外は、ないわねぇ」 「そっか…」 仁美は、疲れて眠ってしまっている。 俺は、この時嫌な予感がしていた。 あの山を通っている時 また霧が出始めた。 やばい、またか。 コンコン… コンコン… ドンドン!! ドンドン!! ドアが壊れるんじゃないかと思うくらい 叩かれた後 ………… 音がやんだ。 よかったと思い 顔をあげた瞬間に フロントガラスに 女がへばり着いて こちらをじっと見ていたのである。 母さんも顔が真っ青で 霧が出ているのも 構わず、車を急発進させました。 車のバックミラーを見ると 後ろから女がもの凄い スピードで追ってきます。 「速く…! もっと速く!!」 そんな事を呟いたのも つかの間 窓には、 大量の血のついた 手形がついていました。 すると、鍵を閉めていたはずのドアが 突然開き 車もエンジンが壊れ 止まってしまいました。 ヒタヒタヒタ…… 何かが、裸足で近付いてくる音。 ……… 音が止み 人気のない山道は、 静寂に包まれました。 助かったのか…? 顔を上げると 女がじっとこちらを見ていました。 深い闇を思わせるような落ち窪んだ目は、人間のものではありませんでした。 「ぎゃぁぁぁぁ!!!」 翌日 ある山道の中で ある一家が 車の中で亡くなっていたそうです。
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