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薄暗い社内の中、北村のPCを叩く音が響き渡る…。
「…ふぅ、もうこんな時間か…。」
北村はPCの電源を落とし、会社を後にした。
自転車で走る事15分、8階建のマンションの駐輪場に自転車を停めエレベーターに乗り込む。
602と書かれたドアの鍵を開け、ドアノブを開いた。
「パパ~♪お帰りなさ~い♪」
「ただいま小夜♪毎日遅くなってごめんな…、いい子にしてたかい?」
北村俊一の娘、北村小夜(キタムラ・サヨ)は元気よく頷いている。
「そうかそうか、それじゃあまずはお母さんに挨拶しような。」
「はーい!」
俊一はそう言い、手を引っ張る娘と共に居間へ入った。
そこには、こじんまりとした仏壇が置いてあり…中央には笑顔で映る女性の遺影が置かれていた。
この女性、北村彩子(キタムラ・アヤコ)は俊一の妻であり小夜の母。
そして
三年前に警察署で起こった悲惨な事件の被害者であり…、未だ行方不明である羽山翔に接触した数少ない警察官の一人であった人物であった…。
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