だから世界に価値はない

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「と言うか、あなたには性別なんかあってないようなものでしょう?」 不意に降ってきた声は妙に威張っていて、どことなくお嬢様な雰囲気をかもし出していた。 長い金髪を揺らして凛とした上之宮玲菜は真っ直ぐにひかるを見た。 あは、とひかるは玲菜を振り返った。 「おー!おじょーおはよー!」 元気よく手を挙げて愛流はひかるの後ろにいる玲菜に挨拶をした。 ヘラヘラっと笑う愛流をぎっ、と鋭く玲菜は睨みつけた。 ぴっ、と勢いよく玲菜は愛流を指差した。 そして怒鳴った。 「そこっ!!『おじょー』言わないっ!!」 がぁっ、と玲菜は怒る。 その怒鳴り声に教室は特に反応はしない。 またはじまったか、と笑うものもいる位だからそんな些細なものではない。 いわば日常茶飯事。
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