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優「今日は竜健の家に泊まることになった……」
直人から来たメールを朗読する。
パタン、と携帯を閉じてポーチにしまった。
喫茶店で頼んだアイスティーをストローで吸う。
優「今日は竜健の家に泊まるみたい」
もう、分かりやす過ぎる。
正直に言ったらいいのに……。
それに……。
優「目の前にいるのにね?」
目の前に座ってアイスコーヒーを飲んでいる竜健に話し掛けた。
竜「俺が使われてるのか?」
優「うん」
買い物に出ていたら、ついさっきバイト帰りの竜健とばったり会った。
そのついでに喫茶店に入った。
なんか乗り気じゃなかったみたいだけど……。
私は嬉しかった。
よかった……おしゃれしてて。
竜「そんなに進んでたのか……付き合ったのなんて最近だろ……」
優「期間なんて関係ないよ、大事なのはどれだけ愛し合ってるかでしょ?」
そして熱い視線を投げてみるけど、あんまり気にしてない。
……こういうところは直人にそっくり。
人の好意に気付かない。
竜「まぁ、あの二人はお似合いだからな」
優「もっとお似合いの二人がどこかにいるかも」
例えば私達みたいな、とは声に出さない。
というか出せない。
怖いから。
竜「いるな、確かに」
優「え?」
……気付いてくれた?
竜「達也とあの黒髪の……」
優「……七海さん?」
怒りのあまり声が震えてないかな?
笑顔のままかな?
体裁を保ちながら心の中で溜め息を吐くのだった。
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