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剥ぎ取ったタオルを手の届かない所に投げた。
これで俺達を隔てる物は何もない。
湊「鬼ー!鬼畜ー!変態さんー!」
京「そんなこと言われてもなんともないです」
体を抱え込むよう隠して叫ぶ湊さんを引き寄せて抱き締めた。
すると諦めたのか大人しくなった。
湊「京助君がこんなに変態さんだったなんて……」
腕の中で湊さんか呟く。
京「男はみんなこんなもんです」
湊「京助君のえっち……」
京「そもそも入って来たのは湊さんですよ?」
湊「それは……そうですけど……」
少し言い淀む。
湊「京助君の背中を流してあげるくらいのつもりだったんです、本当は……」
京「それだけ、ですか?」
湊「え……」
湊さんが俺の顔を見上げる。
京「背中を流しに来ただけなんですか?」
湊「その顔……ずるいです」
どんな顔をしてるか分からないが、湊さんは頬を膨らませてそっぽを向いた。
湊「京助君の家のワンちゃん、みんな今の京助君みたいな顔します」
京「飼い主に似るって言いますからね?」
湊さんが言ってるのは、撫でてくれとか、お菓子くれとかの甘える時の顔だろう。
京「おっと、話題が逸れそうでした……」
湊「………」
京「で、どうなんですか?」
湊さんの耳に軽く唇を当てながら囁く。
湊「ちょっとは……そういう期待もしました……」
京「やっぱりですか」
湊「ううぅぅ、年下の男の子にいじめられるなんて……」
京「ちょっとは嬉しくありません? いじめられるの」
湊「……ちょっとは」
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