9月20日

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京「ど、どうし……」 湊「な、何しようとしてるんですか!?」 俺の言葉を遮るように湊さんが叫ぶ。 何がなんだか分からない……。 京「熱を計ろうと……思って……」 湊「そんなこと頼んでません!」 こんなに湊さんが俺に怒る姿なんて見たことない。 人前でそういうことをやられるのが嫌だったのだろうか? 相変わらず湊さんは俺を睨んでいる。 京「俺……なんかしましたか……?」 湊「たった今、しようとしたじゃありませんか!」 京「熱を計るくらい、いいじゃないですか……」 湊「だからそれが嫌なんです!」 ガーッとまくしたてられた。 いつもなら顔を赤くするようなものなのに……。 やたらと睨まれる……。 京「なんでそんなに怒ってるんですか」 湊「それは怒りますよ、誰でも! あぁ、もう、らちがあきません!」 踵を返し学校に向かおうとした湊さんの手を握った。 京「ま、待って下さい!」 湊「放して下さい!私は今、機嫌が悪いんです!」 京「だからなんで……」 湊「放して!!」 バッと手を払われる。 登校中の生徒がいたら全員が俺達を見るくらいの声で怒鳴られた。 湊「さっきからなんなんです!あなたは!しつこいですよ!」 京「……湊さん、流石に怒りますよ?」 ここまで言われたら流石に俺だってキレる。 そう言っても湊さんは、一歩も引かなかった。 湊「ええ、どうぞ!そもそも―――」 そこで一度、息を吸い直す。 湊「そもそも、あなたは誰なんですか!」 京「な………」 湊「もう、関わらないで下さい!失礼します!」 俺に一瞥してから学校に向かう湊さん に俺は何も言えなくなった。 恋人にあんなことを言われたら誰だって戸惑う。 しばらくその場に立ち尽くした。 「何、喧嘩したのか?」 その様子を見ていたのか隆太が駆け付けてきた。 京「分からない…」 そう、答えるしか出来なかった。
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