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急いで、受け付けにいるおばさんに報せようとしたが、おばさんはうたた寝をしていた。
「おばさん、鉈豆を持った男がいる。警察に電話してくれ」
「あんた誰だい?不法侵入者はあんたじゃないか?」
「子供と一緒にきただろ?」
「子供?子供なんているわけないよ。こんな時間に」
時計をみたもう夜中の2時を廻っていた。
「嘘だ。あの時計が可笑しいんだ。」
「もう2時かい。私は帰るよ。」
「子供がいるんだ教室に!!」
「…あんた、この寺子屋の門限をしっちまったんだよ」
「寺子屋の門限?」
「この鉈豆塾の、昔話しがあるのさ、この塾は、戦争中、真夜中に授業を行っていた。子供達は、朝晩は、隠れていたり、仕事をして、外に向かう子供ばかりだったからね。その頃から寺子屋に帰る門限を総領が決めたのさ」
「総領が門限決めたのになんで鉈豆なんて振り回してんだよ。」
「門限を破り、連れてきちまったのさ、戦争中の兵士を…その子供を守ろうとして総領は鉈豆を振るったそうだよ。」
「光りがあればすぐ気付かれるだろ?どうやって習ってたんだよ」
「空洞の中だよ。」
「空洞?」
「この塾の下に眠っている空洞さね。誰も知らない空洞があるんだよ。」
「さて、もういいかい?私も帰りたいんだよ。この話し、誰にも話しちゃいけないよ」
俺は、おばさんに出口まで押し出された。
総領は、俺を敵の兵士だと思って鉈豆を振るったんだとわかって身震いした。
知らぬ間に、頬にある傷。
俺は、塾から逃げ出した。
タイトル
鉈豆塾の怪談
簡単なオカルト話しです。
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