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卒業式から時は過ぎ桜が散り始めていた。
入学式によくある風景だった。
葵達は、サッカー名門校、葉瀬高校で入学式を終えて漸く教室へと入ったところだった。
葵と廉は教室に入るなり辺りを見渡す。
葵達は、周りを見るなり思ったのだった。
ここにいる全員がライバルになるのだと。
『なぁ、お前等一般か?それとも推薦?』
席に座ってる坊主が話し掛けてくる。名前は大倉航(わたる)二人はコイツを知っていた。サッカー界ではちょっと名前が知れてる奴だった。
『俺は推薦だ』
そう言う廉だったが、完全に見下してるような目をしていた相手を軽く睨み付ける。
『ふん、まぁ合格だ。お前は?』
次は、葵に目が言った。葵は素直に一般からだけど?と半分尋ねるような口調で何か問題あるのかと思いながら話す。
そうすると、航はニヤッと笑い不合格だと一言言ったかと思うと、急に立ち上がり葵の胸ぐらを掴みお前はあっちだと投げ飛ばした。
『イテテ…急に何すんの?』
葵は、ギッと睨むも、こういうタイプに挑発するのはダルいなと改まると少し笑みを零す。
『いいか?ここは強者が生きる道だ。弱者はいらねーさっさと消えろ屑は勉強だけしとけばいいんだよ』
そんなことを言われながらも葵は黙っていた。そして葵の心の奥底から欠落していた何かが沸々と沸き上がってきた。
『葵?大丈夫か?』
廉が、手を差し出して来た。それを葵は素直に受け入れ立ち上がる。
『大丈夫だよ。ただ始めて湧いたよこんな気持ち…』
葵は、自分の中の心境の変化を伝える。
『俺さ、なんか半分諦めかけていたんだ。廉の為についてきたみたいな逃げ道を用意してね。でも違う。負けられない。俺が一番になる。蹴落としてでも』
ニッと軽く笑うと葵はどこか燻っていた自分の心の内を証したのだった。
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