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しかし、現実とは皮肉な物だった。
推薦組みは29人と全国から名が売れた奴等ばかりが来ていた。
一方、一般で入った連中も普通の学校に入っていれば誰もがエースを張れるような奴等がいた。
唯一無名なのが葵と廉だったが、廉の実力は地区大会の決勝止まりではない。
色々考えつつも席に座りながらボーッとしていると教室のドアが開かれた。
蟹股で、こわもてな顔にサングラスを掛け、いかにもヤクザと言わんばかりの格好に、古い健康サンダルそして竹刀を杖のような使い方をしながら先生らしき人が入って来たのだ。
『ワシの名前は、丹波政宗だ!!いいか!!よく聞け!!』
いきなりの自己紹介に葵は、ビクッと肩を震わせると話を真剣に聞き始める。
『一般組と推薦組。先に行っておくが、差別するぞ!!』
葵は、まぁ仕方ないと言った表情をする中でやはり悔しがる奴も中にはいた。
それが普通の反応なのだから仕方ない。
そんな中1人はニヤニヤ笑っていた。大倉航だった。
コイツの余裕を葵は奪ってやりたかった。
『今日からワシが一般の奴等の指導に入る。分かれば準備しろ』
葵達、一般生は唖然としたのだった。余りに唐突過ぎて何も分からなかったからだ。
『寮にある荷物取って来いっつてんだ!!』
吠えると同時に竹刀を、床に打ち付ける。
それを聞いた葵は、一番早くに立ち上がる。
『廉、ちょっと行ってくるわ』
『おう!!成長して来い!!』
軽く二人はハイタッチをすると、由菜にも言ってくるからと残し最初に出ていったのだった。
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