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丹波の話から2時間が過ぎ、漸くバスから降ろされる。
『こっからバスでは行けん、歩いて上がるぞ』
葵は、何一つ文句言わずどんどん山を登っていく。
何故なら葵は、どうしても強くなりたかったのだ。
あの時、自分等を見下したあの大倉と言う男に感じさせられたあの屈辱をどうしても晴らしたかったからだった。
『加賀葵…ワシはお前のことをよく知っておるぞ』
先頭を歩いていた葵と丹波は周りに聞こえないような声で会話をする。
『俺のことをですか?』
葵は、まさかずっとミスしまくっていたことがバレていたとは思わず、驚きを隠せずにいた。
『何を燻ってるお前は、自分に自信を持てばいいんだ』
葵は、ここでサッカーを止めろと宣告されるのではとビクビクしていたが、激励が来た為ホッと一息入れたのだった。
しかし、あのラストパス出せないのには、しっかり原因があったのだ。
それは、中学のチームメイトにも原因はあったのだ。
あれは遡ること2年前のことだった。
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