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アップが終わり、ロッカールームへと両チーム入っていた。
「お前ら分かっておるな。今日は、如何に多くFWまでボールを供給できるか。相手は、1回のチャンスをモノにするようなチーム。攻めて攻めまくるぞ」
丹波の、掛け声に大きく返事をすると全員で円陣を組み、心に灯をともす。
一方、城西のロッカールームではまだミーティングが行われていた。
「10番、17番には厳しくいく。とくに10番。10番は俺がみる。だから作戦変更。17番に二枚ついてくれ。」
長瀬の気合いの入り方は、いつも以上だった。その思いはチームに伝達される。
「二枚つくと言うより、アンカーの位置なのでケアを17番サイドを重点にしろってことですよね。」
その言葉に長瀬は頷く。
「久しぶりに、こんなワクワクするな。もう止めれそうにない。早く試合してぇなー」
夏目は早く試合したくて仕方なかった。ずっと待っていたのだ。葉瀬との、いや、白鳥の試合に。
「足を引っ張らないようにだけはしないと・・・。」
1年生司令塔の精神状態は穏やかではなかった。
そこに気付くのが冬樹だった。
「瑞季、緊張してるのか?」
「え・・・。まぁ・・・」
その反応に冬樹は、軽く笑うと一言だけ伝える。
「お前は感覚でプレーするタイプだ。好きにしたらいい。あとは、夏目と俺に任せろ」
そう言うと円陣のなかに組み込む。
どちらの心にも火が灯る。
長きに渡る試合が今始まる。
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