～raison d'etre～

～孵化～

「迷うな！振り切れ！」

亮平の一言が聞こえたか聞こえてないか定かではないが、白鳥は足を思いっきり振り抜く。

そのボールは、縦に横に不規則に変化し、ゴールキーパーの正面を襲う。

「ブレ球か！しかも動いた状態で」

桜庭がブレ球の存在に気付くが、キーパー正面だった為体で止められるのだった。

「おいおい。いつの間に蹴れるようになってんだよ」

亮平すらも呆然としていたが、白鳥のキック精度があれば出来るかとすぐ納得するのだった。

「やっぱキャプテン凄い人だなー。」

葵がふと思うが、先にアクション起こしたのは葵である。あの機転がなければ今のプレーはない。

葵と廉を同じサイドに入れれば、攻撃も安定するのだった。