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「うわピリピリしてるね」
葵にとっては、今まで毎試合が死ぬほど怖かった為、今更怖いものなどなかった。
寧ろ楽しみで仕方なかった。
「お前ぐらいだぞ、そんな呑気なこと言ってるのは」
廉がクスクス笑いながら、相手の独り言に突っ込みを入れる。
「俺からしたら試合をこんな楽しみで迎えれるのは三年振りだしね。」
葵は無邪気に笑うも相手は白鳥、そんなに思うように行くのかはまだ何も分からない。
「まぁ心配は要らないな。葵は、実力あるんだからよ。お前のパスを受けるのは未来永劫俺だけ。どのFWでもない。俺だけだ」
廉がニッと笑うと、明日に控える試合の緊張など微塵も感じなかった。
明日成績が悪くてベンチに入ることが不可能でもサッカーは高校だけじゃない。
プロを見据えるなら高校など、ただの踏み台にしか過ぎない。
ただ冬の大会、聖地である国立のピッチに高校の間に立っては居たかった。
高校で立つのとプロで立つのとではやはり違う。
高校で立つからこそ意味があるのだった。
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