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廉へと絶妙な形で、繋げると葵もまたゴールに絡む為自分も上がる。
「後は俺の仕事だな」
ボールを受け取った廉は、ワンタッチでセンターバックに並ぶ。
しかし、センターバックは鈴木。2年の時からレギュラーを張る。全国区の選手だ。
「速いだけじゃ抜かせやしない」
並ばれるものの鈴木の反射神経の速度は速い。
間違いなく天性のものだ。
身体をぐっと入れられると、廉はピタッとボールを足の裏で止めたかと思うと、そのままの勢いに任せて左足を当て前に蹴り出す。
「だから甘いっての!!」
どんな小細工をしても付いてこられてしまう。
それは見てから動くので当たり前である。
「だったらこれはどうよ」
ボールを完全に止め、諦めたのか一度ボールを葵に戻す。
「どうした…俺には諦めたようにしか見えないのだが」
そんな皮肉も、廉は黙って受け入れる。
そしてセンターバックを背負ったまま、葵にボールを要求する。
「見よう見まねだがやるしかないな」
葵も、プレスを受けパス一本を出すのも苦しくなってきていたが強引に廉にパスを渡す。
鈴木を背負ったまま、廉はピタッと止めたまま、体を右にスライドさせる。
「だから、無理だっての。そんな速いスライドしてもよ」
その瞬間、残していた軸足で体をぐっとターンさせる。
ボールはその場から1センチも動いてなどいなかった。
「しまった!!」
「もう遅いっすよ」
遠心力と腰の回転を加えた廉は強引にシュートを放つ。
破壊力抜群のシュートは、キーパーが反応するも、届くことは無くサイドネットに突き刺さる。
「よっしゃ!!」
廉がガッツポーズするも葵はご立腹な様子だった。
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