好きでもないから

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 授業の進め方に関しては問題が無いものの、莉子に言わせれば、それ以外の全てが問題なのだ。 「莉子って良い名前なんだから許してよ」 「理由になって……」 「あ、ユッキー!」  莉子の言葉も途中で、この場にいる2人以外の声が割って入ってきた。  "ユッキー"と呼ばれた松雪は、莉子の肩をポンと軽く叩いて、その声の主である女子生徒のグループへ歩いていった。  莉子はその真っ白な白衣を横目でチラリと見てから、すぐに手渡されたプリントに目を落とす。  "井草先生から"と言われて渡されたそれには、美術係である莉子への連絡事項が書かれていた。  美術の教師である菅原井草(すがわら いぐさ)が、莉子に渡すよう松雪に頼んだのだろう。
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