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輝く太陽に、青い空と白い雲。
四つの機影が雲を引き裂いた。
灰色の三機の戦闘機に、囲まれるようにして飛んでいるのは、黒い戦闘機。
『前方の敵機との距離100。後方からエネルギー反応多数。低空より接近する機体を確認。……まさに四面楚歌といった所でしょうか』
男は操縦幹を握りながら口元をつり上げると、機器から聞こえる人工音声に軽口で答えた。
「この程度はいつもの事だろ? と言うか、四面楚歌なんてずいぶん難しい言葉を知っているな」
軽口を叩きつつも、男が自身の機体に出す操作は迅速だった。
後方から迫る無数の光線をドッジロールでかわしつつ、前方の敵機めがけて機体に装備されている、二丁のレールガンを連射。二丁のレールガンから放たれる弾丸は、違う事無く敵機を穿ち、爆発音と共にレーダーから消失した。
その間に低空から迫っていた敵機は男の機体を捉えようとするが、男の機体は不規則な飛行を繰り返し、捉える事を許さない。
「まだまだ若いな。機体の自動サイトに頼ってるうちは、俺を捕えられんぞ!」
『若いといっても、貴方もまだ若いと思うのですが』
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