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機器から聞こえる状況確認に耳を傾けながら、冬夜と呼ばれた男はフッと息を漏らした。
「他人よりもコイツに長く乗っている自信はあるからな。それに、こんな所で墜とされる訳にもいかない」
『それはそうでしょう。御剣財閥の御曹司が、家の事を幼い妹達に押し付けてこんな戦場に出てきたのです。楽に死ねると思ってはいけません』
「耳の痛い話だ」
『さて、無駄話もこのくらいにして、基地へ戻りますよ』
「了解だ。相棒」
終始人工音声に主導権を握られていた冬夜だったが、悪い気はしなかった。
それは、相手が何よりも信頼する戦友だったからだろう。
黒色の機体は、大空を旋回すると、基地がある東の空へと消えて行った。
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