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「大尉ー! 御剣大尉ー!」
コックピットから降り立った男、御剣 冬夜は自分を呼ぶ声に気づき、顔を向ける。
そこには息を切らせて走ってくる整備兵の姿があった。
「大尉ー! 聞きましたよ~! 新しいブースターのテスト飛行中に、敵機と遭遇! 敵機に囲まれながらも、全機撃墜! いやぁ~、流石は我らスウェーネが誇る、最強の撃墜王! 向かう所敵無しですな!」
「撃墜王なんて、俺には過ぎた称号だ。いつも生き残る事で頭が一杯さ」
「いやいや、謙遜なんてするもんじゃねぇですよ! 大尉の強さは皆分かってんですから!」
実際、冬夜の操縦技術は、歴戦の猛者が集うこのスウェーネ基地でも、随一だった。
二十八歳という若さとは見合わない操縦技術。戦闘時における敵機の撃墜数。冬夜が認めていなくても、基地の兵士は皆、冬夜を撃墜王として認めていた。
冬夜は未だ興奮冷めやらぬ整備兵と軽く言葉を交わすと、兵舎へと歩いて行った。
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