蒼天の撃墜王

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滑走路からそう遠くない所に兵舎はあった。冬夜が兵舎の入口をくぐり、足早に部屋へと向かう途中、携帯端末から聞こえる人工音声。 『今日は、報告書をまとめれば終わりですか?』 「そうだ。予定外の事があって疲れた。早くまとめて眠りにつきたい。ルイス、もちろん手伝ってくれるだろう?」 冬夜は欠伸を噛み殺すと、自分の相棒に助力を求める。 『そうですね。最近はなにかと出撃が多かったですからね。手伝いましょう』 「助かるよ。恩にきる」 自分の相棒は本当に頼りになる。人工AIとは思えない程の柔軟な思考には、戦闘中だけでなく、日常生活でも助けられていた。 相棒、ルイスとは初めて可変機に乗った時からの付き合いになる。初めて乗ったのが十六歳の頃だったので、今年で十二年の付き合いになる。 十二年の間、共に空を飛び続けて来た。冬夜にとって、ルイスほどの戦友は他にいない。 『そう言えば。聞きそびれていましたが、黒翼に取り付けられた新型ブースターの調子は如何でしたか?』 「……あれか。確かに稼働してからの爆発力と加速力は従来型とは比べものにならんが、あれを使いこなすのは正直、難しいぞ。今回の戦闘でも、出力を出しすぎないように抑えて飛んでいたんだが、それでも十分戦えた」
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