蒼天の撃墜王

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可変機の中で煙草を吸う兵士もいるが、冬夜は基本的に機体の中では煙草を吸わない。故に六時間ぶりの煙草は、普段よりも格別だった。 戦場では様々な事を学んだが、煙草の味も戦場で覚えた。 それが良いことなのかは解らないが、今では冬夜のライフスタイルに深く組み込まれている事は事実だ。 ライトの周りを漂う紫煙から、ふと視線を落とすと、写真立てが目に入った。 そこには今よりも少し若い自分と、可愛い妹達。それを見守るように佇む一人の女性が写っていた。 ぎこちない笑みを浮かべる自分の両足に、幸せそうに笑いながら双子の妹達が抱きついている。二人は見分けがつかないくらいそっくりで、双子の妹が持っている身の丈程の刀が無ければ、兄である自分ですら見分けがつかない。そんな様子を見ながら可笑しそうに微笑む自分の隣に佇む女性。
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