638人が本棚に入れています
本棚に追加
無理矢理こたつに座らせて、理由を聞く。
「なんで病院を抜け出した?」
ジュンスは俯いたままで、顔をあげようとしない。
「なんで病院を抜け出したんだ?…ちゃんと言って?」
すると、
「怖かった。」
たった一言。
たった一言だったけど、俺はその気持ち、少し分かる気がした。
「ヒョンが倒れて怖かった。僕の記憶の中からヒョン達が消えていることが怖かった…。この気持ちは、いくら頑張って伝えようとしても伝わらないと思う。」
俺は一番身近でジュンスを見てたはずなのに…
俺は何を見てた?
自分でも分からない。
いつも、ジュンスの記憶の中から自分が消えていくことに怯えていた。
いつか、ジュンスが消えてしまいそうで怖かった。
もう、前みたいには戻れないんだろうって…悲しかった。
……泣きたかった。
「…っ…」
ジュンス、ごめん。
俺、泣かないって決めたけど…無理みたい。
もう、狂いそう。
自分の泣く姿が醜いってことぐらい分かってる。
でも、涙以外でどうやって吐き出せばいい?
この苦しさや、この歯痒さをどう吐き出せばいい?
「……ごめんっ…」
「ユチョン、なんで泣くの?」
今の俺に優しさは効かない。
「ジュンスっ…」
泣き顔を見られたくないのか、ジュンスの温もりが欲しかったのか分からない。
俺は、ジュンスを抱きしめた。
これでもかってくらい、キツく、抱きしめた。
_
最初のコメントを投稿しよう!