第五章

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「今から話すことは、まだ確定しているわけではありません。ですので、取り乱したり、混乱したりしないでください。」 担当医は前置きにこう言って、話し始める。 「ジェジュンさんは、人格障害の恐れがあります。」 「人格…しょうがい?」 「はい。ストレスから来るもので、精神的に傷を負った方がリストカットをしてしまいます。リストカットの傷跡で一番古くからある傷は、約半年前ほどです。」 そんなに、昔からしてたのか? そして、人格障害? ヒョンの人格のどこに障害があるってんだよ。 「……ョンさん?ユチョンさん?大丈夫ですか?」 「あ、あぁはい。で?」 「多分、精神的に苦しまれているはずです。リストカットは、大抵精神に傷を負った人がするので。死にたいと思っても死ねない、そういった人たちが、手首などを…初期段階ではピアスです。」 ピアス? 俺もピアスをしている。 「最初はオシャレでつけるピアスでも、何個もあけたくなる人は、何か精神が病んでるんでしょう。ユチョンさんも、そういった経験はあると思いますが…」 ある、かもしれない。 「とにかく、ジェジュンさんに負担をかけないように気を遣いながら過ごすよう心掛けて下さい」 「……はい。」 俺は返事をすることで精一杯だった。 アルツハイマーに人格障害… なんでこう、俺達ばっかりなんだよ。 _
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