序章

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僕は宣告されてしまった。 僕の頭の中に消しゴムがあるんだと。 信じたくなかった。 信じる気にもならなった。 でもある日、僕の最愛の人の名前すら曖昧になった。 呼ぼうと思っても、名前の1・2文字目で消しゴムが働き出す。 そして、忘れまいと四六時中ペンを握っては凧が出来た。 僕の職業は、歌手。 歌って踊って、アジアでも名を誇るグループ。 歌詞を覚えて歌って、振りを覚えて踊るのは当たり前。 でも消しゴムのせいで僕は仕事に支障を及ぼすようになってしまった。 歌手として、一番重要な記憶力‥僕はもう使えない。 神様‥変声期の苦しみを乗り越えて、やっと手にしたこの仕事。この夢。お願いですから奪わないで下さい。 _
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