森下愛姫(甘狼)

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晴哉が人生初の恋人。何もかもが未経験の為、心臓が静まる暇がなくいつもドキドキさせられている。幸せの代償はこんなに苦しいのかと悩んだ時期もあったほど。その相手が上司だなんて社内の誰にも言えないと、隠す努力をしていたというのにそれは無駄だった。肝心の恋人があっさりとバラしたせいで、部署では周知の事実となる。しかし脅しも忘れない為、部署内で留められている。口を割って怒りをかえば、何が起こるか何をされるかは誰にも分からない恐怖。なのだが人事部のアイドル、未央ちゃんだけは知っている。愛姫が同期で仲良しなこの子にこっそり相談してるから。そしてそれを晴哉は知っているが、気づかないふりをして黙っている。 恋人のことを完璧なくらいかっこいいと思っているが、好きなのはむしろ内面。晴哉のことを横暴で怖いと言われると、表面だけしか見てないからだと、悔しくて少しムッとする。本当は誰より優しい人だと信じて疑わないが、それは恋人だけの特権だとは気づかないのが愛姫らしい。 成人式を終えて三年たった今でも、未成年に間違われることもまたコンプレックスである。リボンやレース、キラキラしたものが大好きで、いわゆる姫系と呼ばれるものを着用することが多いが、デートの前日にはクローゼットから引っ張り出して広げたものを目の前に、一時間は悩む。考えてみれば子供っぽく見られるのは服装のせいかも。晴哉の隣を歩くにはイメチェンも必要かもしれない、とか。その為最近は大人の女性に見られたいという願望が強く、実は女子アナのような外見を目指し始めデパートに物色に行くが、体型に合わない気がして断念している。そんな野望は誰にも秘密。 初めての恋人の為に編物に挑戦しているが、うまくできずに何回もやり直してばかりで今のところ渡せずじまい。今冬が終わってしまう前には、何とかプレゼントしたいと考えている今日このごろ。 ◆ 実は愛されキャラ万歳。
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