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両親が振り向こうとする。何故か、ビクリと肩が竦む。
――あぁ、振り向かないで。
口が開かない。痺れたように体が固まる。
「……シャル!?」
「どうして……ッ?」
お父さん、お母さん……!
一瞬の隙を付いて赤眼の男が距離を詰める。手に握られていた双剣が閃く――
「……!」
世界が、止まって見えた。否、止まっていた。父も母も、双剣の男も、召還獣でさえ動かない。
「動けるのは、私だけ……?」
月が蒼い。森のざわめきも聞こえない。突然、目の前で声がした。
「ごきげんよう。お嬢さん」
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