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もうすぐ入口というところで少女は足を止める。
「……?」
なんだろう、妙な胸騒ぎを感じる。――そう思っているとパタパタと音がした。目を凝らすと母さんの使い魔であるコウモリが飛んでくるのが見えた。
「なに……?」
手を差し出し止まらせる。目を瞑って意図を読み取るように意識を集中させた。
『逃げて……! 遠くへ……』
「?!」
この先で、何かが起きている。真っ暗で何も見えない森を見る。
「……っ」
躊躇うように、けれどしっかりとした足取りで少女は森へと踏み込んだ。……コウモリが制止を促すように、小さく鳴いた。
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