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もしかして、僕の胃袋・・いや、食道まで、食べ物でいっぱいにするつもりじゃないだろうか。
僕は急に恐ろしくなり、席を立った。
「あら・・もう駄目?」
彼女は魔性の目付きでこっちを見ている。
「う・うん、ご馳走様」
僕が伏し目がちにそう言うと、彼女は謝ってきた。
「無理させてごめんなさい!実は・・」
そういうと彼女は、後ろからダボダボのタートルネックのセーターを取り出した。
「なんだい、それは」
「これはね、前付き合っていた人のなの、あなたにも着て欲しくって・・・本当にごめんなさい」
彼女は泣きながら説明していた。
なんだ、そういう事だったのか。
「そうだったのか、よし!じゃあなんとかその体型になるまで頑張るよ、ハハハ、今日はもう無理だけどね」
彼女の為ならなんだってするさ。
この日から僕は、セーターに合う男になる為に食べ続けた。
そして、食べ終わると毎日セーターに袖を通していた。
フィットしないと彼女が苦い顔をする。
僕はそれが嫌で嫌で、毎日食べ続けた。
そしてついに、セーターを手に入れる時がきたのだ。
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