フィット

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シュルシュルと肌とセーターがこすれる音。彼女の耳は正確で、昨日の音とはまた違う、ドンピシャな音だ。と喜んでいた。 僕も喜んでいたが、あることに気付いた。 この体型を維持しなくてはならない。 果たして出来るのだろうか。 もう一つ気になることがあったので、彼女に聞いてみた。 「前の彼氏とはどうだったの?」 「ううん、上手くいかなくて・・」 なるほど、前の彼氏とはフィットしなかったということか。 その点僕は大丈夫。 彼女という容器にスッポリ収まってやるさ。 意気込む僕に、彼女はこう言った。 「御礼に、見せたいものがあるの」 なんだろうと思い、にやにやしながらも彼女についていった。 僕の知らない扉があった。 彼女はその扉を開き、僕に穴を見せた。 人一人入るような大きい穴だった。 穴といっても丸くはない、まるで・・ 「なんだいこの穴はー」 振り向こうとした僕の首を誰かが掴む。 彼女が僕の首を絞めている。 思ったより強い力。 僕はあっけなく闇の中に落ちた。 うっすら聞こえる彼女の声。 「ふぅ・・前の人も骨になってしまった。このポッカリあいた悲しい穴を塞ぐのは、あなたよ、愛してるわダーリン」 ギュッギュッ・・キチュ。
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