ジャパンデミック

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胸を張って堂々と風を切り歩く男。 周りの人に見られているのを快感に思っていた。 はっはっは、皆も早く元気になって上を向いて歩くがいいよ なんて心の中で勝ち誇ったように呟いた。 そんな中。 「みてあれーゴホン!ケンコータイがいるよハハハ」 「だっさ!まだ夏気分なのかなーズルル・・」 見事に風邪をひいているであろう女子高生が、体を震わしてそう男に言った。 一体なんの事かよくわからないが、馬鹿にされているようだ。 そして反対側からも声が聞こえた。 「風邪が治りそうでさあ・・このままじゃあいつに馬鹿にされるよ・・ちょっと遊んでぶり返したいんだけど付き合ってよ」 「おいおい!今日俺四十度あんだぞ四十度!・・しょうがねえなあ・・ゲーホゴッホ!」 まるで自慢しているように体の悪さを披露している。 ますます訳がわからなくなる男。 工事現場を通り過ぎる。 「おい、新入り!俺が風邪ひいてるっていうのにゴーホッン!お前はピンピンしてるたあどういうこった!」 「すみません!昨日寝ちゃって良くなっちゃったんです!」 「歯をくい・・じゃない、口を開けろ!ゴッホゴーホッンゲホゲホ」 監督らしき人が新入りに向かって、咳を思いっきりかけている。 男は気が狂うように感じたが、すぐに周りの視線で目が覚め、こう言った。 「あのー恥ずかしながら頼みごとなんですが・・私にも風邪分けて貰えないでしょうか」
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