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だが女性が動く気配は無かった
それどころか、顎に指を添えて考え事をし始めた
『お、おい、如何したんだよ
鍵なら壁に掛かってるから早く出してくれ』
それでも女性は動かない
視線は名無しと床の接着面に釘付けだ
そして、やっと口を開いたかと思うとこんな事を口にした
「ちょっとこのボーリングの球に乗り移ってくれるかしら?」
直後、背後からゴトンという音がした
なにかと思い振り向くとそこにはボーリングの球と思われる球体が転がっていた
檻の中は依然として暗く視界が悪い
『…は?いつの間に!?お前どんな手をつかっt』
「いいから移りなさい」
またも言葉を遮られ、もう如何にでもなれと名無しは自棄になってボーリングの球と思われる物体に乗り移った
足場が不安定になりフラフラする。そのうち転げてしまいそうだ
「準備はいいわね?」
特に準備するような事は無いと考え、名無しは一度だけ頷いた
「じゃあ幻想郷に1名様ご案内~♪」
突如、名無しの足元の地面が裂け、ボーリングの球を下にして落下した
女性も自ら作り出した空間の裂け目に入り、部屋から生き物が消えた
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