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死のう。
私がこんな決意を固めたのは高校3年の夏だった。
今だからカミングアウトしちゃうけど、実は私ってもの物っ凄いチキンなんですよ。何かに立ち向かうとか刃向かうとか、ましてや自分から"死ぬ"だなんて言語道断ありえない!
そんなチキンハートの持ち主である私がここまで追い詰められた理由。例えば虐めだとか家庭内暴力だとか――そういう他の人が関わって来るような大層なことではない。
ただ、自分の不甲斐なさと物心付いたときから憑いて回る運の無さに嫌気がさしただけなのだ。どちらかと言うと後者が理由の大半を占めているけど。
自分の人生を振り返って、考えてみる。そうだ、お手軽に昨日のことを思い出してみよう。
えーっと昨日は……登校途中にガラスの破片を踏んで自転車のタイヤがパンクし、その後は何故だかペダルを踏み外してしまって横転。
しかも転んで突っ込んだ先はゴミ捨て場だったからたまったもんじゃない。(ついでに言うなら、昨日は丁度生ゴミの日だった……!)
当然の如く自転車のカゴは滅茶苦茶に歪んだし、制服だって汚れまくり。
――こんな出来事が1日に必ず1回はある。いや、1回ならまだ良い方だ!今日は朝にバナナの皮を踏んずけただけだったな。あー、良かった良かった!って寝る前に神様に感謝してしまうくらい私の日常は悲惨なのだ。
今更だけど私は不運に常に付きまとわれているとしか思えない。
ポジティブに前へ進んでも、逃げようと後ざすりをしても、待っているのは不運不幸不運不運。
当たり前に過ごしていく日常の中で、些細な不幸など誰も気にしない。
友達に今日の不幸を話せば「まぁ、そんな日もあるよ!」と、根拠の無い自信で励ましのエールをくれる。
いや、私は毎日こんな感じですが何か問題でも?
こんな細々とした不幸と不運でジワジワといたぶられる私の精神……。毎日味わなければならないこの苦痛を、私以外の誰に分かる。
自分で言うのも難なんだけど、私ってかなり不幸な人間だと思うのだ。
正直、生きてて楽しくない。毎日は暗澹で、のんきな面構えで繰り返しに昇る朝日が恨めしくって恨めしくって―――だから、私は――。
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