存在価値

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存在価値

「ヒカル、そっちには何が見えるかい?」 満天の星空の下、 白衣を着た、少し白髪混じりの男と、 ほとんど無表情の少女が星を観察していた。 いや、観察しているのは少女だけだろうか。 男の方は星空の方へ顔を上げるものの、 星を「見て」いるのではない様だ。 「アルデバランを見つけた」 男に「ヒカル」と呼ばれた少女は無機質な声で言った。 「おお、もうそんな季節か。」 男はヒカルに話かけるが、少女は何も答えない。 観察中は、観察以外の事を口に出す様、作られていないのだから。
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