私の涙

4/4
前へ
/18ページ
次へ
「ふう…」 ため息をつき、作文をしまった。 (感傷に浸ってるのはここまで。 これ以上浸ってると、おかしくなりそう。) そう思いながら掃除を続けた。 思い出の品々が次々と顔を出した。 裕弥は気づかなかった。 裕弥は、思い出の品々一つ一つを見るたびに、小さな涙が頬をつたった。 裕弥は、はっとして手を頬に触れてみると、小学4年以来の、止めどなく流れる涙が、あとからあとから流れてくる。 誰もいない室内で、ぽつりと呟いた。 「…どうして?」 裕弥は嘆いた。 もちろん誰が慰めてくれるわけでもない。 しかし裕弥は、ただただ嘆いた。 誰かに頼ることのできない裕弥は、どうして良いのかわからず、小さな涙に大きな不安を込めて流した。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加