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先生「そこで…。
この子が…」
純哉「こんにちは。
純哉です。
助けてくれて、ありがとうございました。」
内田「あらあら…。
わざわざ来てくれてありがとうね。
無事で何よりよ。」
そういって、純哉を我が子のように抱きしめ、頭を撫でた。
純哉は、今まで感じたなかで一番感動した。
なぜなら、今まで親に抱きしめてもらったこともなかったし、優しい言葉も初めて聞いた気がしたからだ。
記憶喪失になっても、それはわかった。
なぜか鼻の奥が痛くて、頬が冷たかった。
不思議に思って触れてみると、水のような何かがあった。
純哉「…先生、これ…。」
そういうと、嬉しそうな顔をして、うなずいた。
先生「そう。
それが涙だよ。」
内田「あらあら。」
純哉「先生、内田さんにお世話になっちゃダメですか…?」
先生「…君の家が近いけど…。
いいのか?」
そう言うと、チラッと純哉の家だったところをみた。
今、親は逮捕されている。
しかしいつまた外にでるかわからない。
純哉「僕、内田さんに助けてもらったから、大人になったら助けるんだ。」
先生「……内田さん、よろしいですか?」
内田「私、子供ができない体なので嬉しいです!」
純哉「ホントに!?ありがとうございます!」
先生「内田さん。
すみませんが、純哉くんは記憶喪失なので、もしかしたら日常に異常があるかもしれません。」
内田「…クスッ。
あの調子なら、大丈夫ですよ。
夫も喜ぶわ。」
あの時、内田さんに見せた涙………。
それは、今まで甘えられず、助けてもらえて感動した美しいたくさんの小さな涙。
また、感情がでた美しい証。
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