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自分の涙
ここはとある田舎。
人気はあまりなく、静かな所だ。
しかし綺麗な景色がある。
夜になれば、真っ暗な田舎だが、皆優しい人々だった。
過去形なのには訳がある。
それは、とある若者のこと。
その若者は、うつけと言われていた。
うつけは、なまりで、馬鹿者を指す。
"うつけ"こと"苅田雄太"は、今流行りの若者で、田舎から出たいと常に思った。
そして、街に行く日がついにきた。
とにかく街は大きくて、人が行き交っていた。
雄太「…ほおー。
やっぱり田舎とは違うなぁ。」
田舎からすれば、「街は恐ろしいから近づくな。」と思われる位、田舎の者は街を卑下した。
その理由を、雄太は知らなかった。
田舎には、年寄りだけではなく、少しだけの若者がいた。
田舎のおじぃ達の井戸端会議が、今日も大声で行われていた。
「うつけは、街にでたんかぃ?」
「ああ。おおうつけだよ。あいつぁ。」
「しかし、あの理由を言わなかったんかね?」
「いんや。言った。だが、何を言ってもききゃぁせん。」
「はえー。うつけだとはおもっとったがそれほどとは…。」
「ああ。あいつぁー多分、もうこの村にはかえれめぇ。」
「…そうだなぁ。
寂しくなるが…。」
「おじぃ。理由とはなんじゃ?」
小さな少女が問いかけた。
「ん?
おお。今から教えにゃあな。」
そういいながら、休憩所に腰をおろした。
「うん。」
「ここにゃあな、街からすごく離れとる。じゃが、街には無いものがある。
」
「街に無いもの…?」
「そじゃ。
美しい自然に、すべて自給自足。
そして、譲り合いがあるのじゃ。
金があるから偉いんじゃのうても、食べ物がたくさんあるから偉い訳でもない。
つまり、持ちつ持たれつ…じゃ。」
「持ちつ持たれつ?」
幼い少女は何回も疑問をなげかけた。
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