無菌室

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その日少女は無菌室へ移動した 面会は限られた人だけ 少年は消毒をしてから医者のような格好に着替えて無菌室へと入る 少女の口には呼吸器がつけられている 病室と違って器具の置いてある無菌室は少女の最期を意識させた 少女は苦しそうには見えなかった 本当に苦しくないわけはないのに 少年は優しく少女の頭を撫でる 瞬間、少女の眼が潤む 二人ともわかっていた 今日が最期の日だと 頭を撫でいるその手が震える 少年は涙を溜めながら必至だった 少女もまた、少しでも長く生きようと必死だった 暗く冷たい無菌室に 病室のような暖かさは 何もなかった ただつらい現実を受け入れるしかなかった
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