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メールの数は減った。
それが答えだったのかと思ったら、あたしもメールを送る手が縮こまってしまった。
たまのメールも、ワクワクするような内容ではない。
以前よりも遠くなったような彼に、何故か以前よりも『好き』の気持ちが溢れた。
変化のなくなった毎日。
あたしは毎日バスと電車を乗り継いで学校へ来て、電車とバスを乗り継いで家に帰っていた。
携帯を眺めては、ため息。
それでも『マナーモードで着信がわからないから』と言い訳を建て前にして、彼からのメールを待った。
車内の騒がしさの中に、あたしのところだけある静けさは、あの時ね教室と似てる。
周りの男子は盛り上がっていたのに、小宮くんだけは無言だった。
目を閉じたら、心の奥から聞こえて来る。
『大好き』
今ここで叫び出したい。
…そんなこと、できるはずもないのに…
あんな顔されるくらいなら、いっそメールなんかしなければよかった。
役立たずなメモリでよかった。
そうすればもしかしたら、まだ笑ってくれたかもしれなかった。
その無意味な葛藤をしながら、自分の曇った顔に気付いた。
彼の『気持ちに応えられない』ことに対する困惑顔が、もうすぐあたしに雨を降らす。
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