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今日も一日頑張ったなーなんて他愛もない会話をしながら、夜道を二人手繋いで帰るのが俺にとって至福の時間だったりする。
おまえはどうか知らねえけどさ、俺はめちゃくちゃ幸せだって柄にもなく思っちまうんだ。
「あー、疲れたー。」
「お疲れ!
なんか時間あっという間だったねー、帰れないかと思ったよ。」
「だな。一生分の体力使った気分だわ、多分ふとん入ったら3秒で寝れる自信あるし俺っ。」
「ははっ、何その自信!
あたしも眠いー!」
横を向けば可愛い笑顔がそこにあって、掌には小さな手がきゅって握り返してくる。
やべえ、幸せで泣けそうだ。
「あれっ?
修兵泣いてる!?」
「はっ、ばかかおまえ!
俺が泣くわけねーだろ!ゴミだ!ゴミが入ったんだっつの!」
こんなことで泣くなんて、俺も年とったよな。
気付かれないように目をこすると、右手がさっきよりも強い力で握り返される。
「ねえ、修兵。
こんなこと言ったらきっと修兵にばかにされるかもしんないけど、
あたしね、修兵とこうやって手繋いで他愛もない話して…
一緒にいられることが最高の幸せなの。
へへ、幸せ過ぎて涙出てきそう…」
言ってるそばから泣き出すから、俺は焦りながらゆっくり抱き寄せて頭を撫でてやる。
なんだ、同じこと考えてたのかよ。
嬉しくて仕方なくて、だからもっと強く抱き締める。
「しゅーへー…」
泣き顔まで愛しくて。
「…あのさ、俺もおまえと同じこと考えてた。
一緒にいられるだけで泣けるくらい幸せだ。」
かっこよく言う余裕もなく、目が潤んでくる。
だっせーな、俺。
「ふっ、修兵まで泣いてる。うちら今かなりバカップルだね、」
泣いてんだか、笑ってんだか、いろんな表情が入り交じって俺たち相当怪しいな。
「これからもこうして、ずっーと一緒にいられたらいいよねっ。」
「当たり前だろ?
離れるなんて有り得ねえな、つか俺離す気ないし。」
絶対だよって再び強く握り返されて、俺も強く握り返す。優しい鼓動が掌を伝わって心地いい。
「っしゃ、あの星に誓ってやる!」
この温もりは死んでも絶対離しゃしねーってな。
*END
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