A COLD DAY/冬獅郎

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「んはっ、寒かった!」 バンッと威勢よく入って来たその顔は、赤らんでいて外の気温の低さを語っていた。 「こたつ、こたつ!」 「そんなに寒かったのか?」 「もうありえないくらい。多分もうすぐ雪が降るよ。」 窓に目をやるとガラスがうっすら曇って、月がぼんやり輝いている。 「いーなあ、しろちゃんは寒いの得意で。あたし極度の寒がりだからこたつが手放せないよ。」 「…得意ってか、我慢出来るだけで俺だって寒いって感じるし…」 「えっ、そうなの!? じゃあこっち来なよ、そっち寒いでしょ。」 ぐいっと引っ張られて無理やりこたつへ突っ込まれる。 ふわっと広がる暖かさが心地よかった。 「うわっ、 すんごい冷たい!ほらもっとこっち来なって!」 両頬に添えられた手からぬくもりが伝わる。 どさくさに紛れて、少し寄りかかってみた。 「寒くない!?大丈夫!!?」 寒いって、悪くない。 *END
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