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君は今風呂入っててん、
待ってる僕は暇やから縁側に座って星空なんて眺めてみてんけど。
んま暇やんなあ。
はよ上がってきたらんの?
こんな短時間さえ待てん自分が相当君に入れ込んでるて、ふと気付くんや。
側におらんと落ち着かんねん。
「ぎーんー!」
ふわっと広がる石鹸の香り。知らん間に君が隣りに座ってこっちを見上げとった。
「何か考え事かな?
何回か呼んだの気付いてなかったでしょ。」
クスッと笑う君は今さっき風呂におったせいか、頬がピンク色で可愛くて。
「君のこと考えてたん、
はよ上がらんかなーて。」
一緒に入ったらよかったのになんて君はさらっと言うたけど、ぼくが君に何するか分からんししないって保証も出来ん。
んな身の危機なんて考えてもないねんなあ、きっと。
「そういえば君の髪濡れたまんまやないの。ちゃんと拭かんと風邪ひくで。」
たく、君ががさつなとこがあるんは知っとるけど仮にも女の子なんやし、らしくせな。
ぼくが注意してもいっつも聞き流されんのや、悲しいなあ。
君は今ぼくの前に座っておとなしく髪を拭かれてて、
ぼくは優しくタオルで君の髪を拭いてやる。
なんや、こういうのええなって呟いたら君はうんとだけ答えてた。
前向いてて表情見えんけど、多分笑顔や。分かんねん。
「ねっ、
次は絶対一緒に入ろうね!」
急に振り向くから驚いたけど、なんか照れくさいなあ。
君がいっつもするように聞き流しといたら、ふてくされてまた前を向いてもうた。
せやからそっと後ろからギュってして耳元で呟く。
「ぼく何するか分からんで、
覚悟しといてや。」
やっと状況を理解したのか、君の耳が真っ赤になっとった。
かわええなあ、
ほんまに覚悟しときや。
*END
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