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「やっぱり素敵よねー!」
「雲の上の存在って、きっとこういうことを言うのよね!」
いつも通り、お昼休みはあの方の話題で持ち切りなのです。
もちろんあたしだって興味がないわけじゃない…
むしろ、どうやったってお近付きになれないあの方にあたしは本気で恋に落ちてしまったわけで。
「あっ、朽木隊長よ!」
その一言で即刻下を向くあたし。
だってだって、一目でもあの方を見たら素敵過ぎてきっと気絶しちゃうから。
「あー…行っちゃった。」
テンションの下がった皆とは裏腹に、一人ホッと息をつく。
あの方の存在を察知しただけで激しい動悸、上昇する体温、絶え絶えの呼吸に謎の震え。
憧れとか好意とかそんなレベルじゃない、
日に日に気持ちは惹かれ、あたしの体はその都度おかしくなる。
でも存在を感じることが出来ればそれでいい。
それだけで本望。
貴方がいてくださるからあたしはこうして生きてます。
そんなささやかな想いを忍んでるわけです。
誰にも打ち明けず、ひっそりと…
別の日のお昼休み─
「はああー、素敵過ぎて言葉も出ないわ。」
「ずっと見つめてたいくらい…」
考えるだけで思考回路がショートしそうなので、必死に目の前のうどんをわざと大きい音を出してすすってみた。
案の定、うるさいって皆に怒られた。
「あんたは朽木隊長のこと素敵だと思わないの?
いっつも朽木隊長が来るとそっぽ向いてるし…」
「いやっ、んなこと!!
素敵ですかっこよすぎます!!」
「本当にそう思ってる?」
怪しいって視線をいっぱいに浴びて少々焦り気味になりつつ、さらにうどんをすする。
「思ってるよ。
朽木隊長という存在があたしを生かしてくれてるから。」
皆はしばし疑問符を頭の上に浮かべたあと、再びあの方の話題をし始める。
誰にも分かんなくていい。
あたしが好きで好きで止まないあの方がいてくれればそれでよいのです。
うどんを完食し、後片付けをするため立ち上がる。
ふと前方の少し離れた所にいる人と目が合った。
それが最後の記憶で、気付いたら救護室だった。
そう、あの方と…
朽木隊長と目が合っちゃった!
*END
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